採用・定着 2026.10.02 公開
最低賃金は全国平均1,177円に。若手だけ上げると「中堅の不満」が生まれる理由と、中小企業の賃金バランスの整え方
監修:採用定着士・国家資格キャリアコンサルタント
3行まとめ
- 2026年度の最低賃金は全国平均1,177円(56円引き上げ)。愛媛県は60円上がって1,093円になり、11月1日から適用される。
- 賃金の上がり方は年齢で違う。20代は前年比4%台半ばの上昇だが、40代後半は1.4%にとどまり、若手と中堅の差は縮まっている。
- 若手の賃上げは必要だが、中堅の納得感を失うと定着の土台が崩れる。「額」より「説明できる仕組み」がカギになる。
一次情報の内容
1. 2026年度の最低賃金(厚生労働省、2026年9月3日公表)
| 項目 | 全国加重平均 | 愛媛県 |
|---|---|---|
| 改定後(時給) | 1,177円 | 1,093円 |
| 改定前 | 1,121円 | 1,033円 |
| 引き上げ額 | 56円 | 60円(目安より4円上乗せ) |
| 発効日 | 2026年10月1日〜12月2日に順次 | 2026年11月1日 |
全都道府県で54〜65円の引き上げです。愛媛県の1,093円で、8時間×月21日勤務すると、月約18万4,000円になります(試算)。
2. 年齢別の賃金の伸び(令和7年 賃金構造基本統計調査)
2025年の新卒の初任給は、大学卒が26万2,300円(前年比+5.6%)、高校卒が20万7,300円(同+5.0%)です。一方、一般労働者全体の賃金は34万600円で、伸びは+3.1%でした。年齢別に見ると、若いほど伸びが大きくなっています。
対前年増減率(一般労働者・男女計、2025年)。一般労働者全体は+3.1%。厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査の概況」第2表をもとに作成。
20代〜30代前半は全体平均を大きく上回る一方で、40代後半はその半分以下の伸びです。若手と中堅の給与の差は、年々縮まりやすくなっています。
3. 新卒の3年以内離職率(2022年3月卒業者、2025年10月24日公表)
大学卒は33.8%、高校卒は37.9%が、3年以内に辞めています。事業所が小さいほど離職率は高くなります。
| 事業所規模 | 大学卒 | 高校卒 |
|---|---|---|
| 5人未満 | 57.5% | 63.2% |
| 5〜29人 | 52.0% | 54.6% |
| 30〜99人 | 41.9% | 45.2% |
| 1,000人以上 | 27.0% | 26.3% |
人と組織の視点:若手の賃上げと中堅の納得感を両立する
最低賃金と初任給が毎年大きく上がると、「入社3年目と10年目の給与がほとんど変わらない」という状態が起きます。若手が辞めないように給与を上げた結果、仕事を支えている中堅が「頑張っても報われない」と感じてしまうのです。中堅が辞めたり意欲を落としたりすれば、新人を育てる人がいなくなり、結局若手も定着しません。小さな事業所ほど新卒の離職率が高いことも、この「育てる人」の余力と無関係ではありません。
大企業のように全員の給与を大きく上げるのが難しい中小企業では、次の3つでバランスを整えます。
社員を勤続年数や役割の順に並べ、時給に換算した金額を一覧にします。最低賃金に近い人は誰か、先輩と後輩の差が縮まっている(または逆転している)のはどこかを、まず経営者が把握します。
一律の賃上げだけでは、中堅の納得感は生まれません。新人の指導、段取り、複数の仕事をこなすといった中堅の役割を言葉にし、「指導担当手当」のように役割と結びつけて差を示すと、金額が大きくなくても「何に対して払われているか」が伝わります。
若手の給与を上げるときは、中堅に先に理由を伝えます。「法律と採用市場で若手の給与を上げる必要があること」「あなたの役割をどう見ていて、今後どう報いるつもりか」を個別に話すだけで、受け止め方は大きく変わります。後から噂で知るのが、一番不満につながります。
よくある質問
Q. 最低賃金より高い給与を払っているので、うちは関係ないですよね?
月給制の人も、時給に換算すると最低賃金を下回っていることがあります。また、採用の競争相手が初任給を上げれば、自社も合わせる必要が出てきます。一度、全員分を時給換算して確かめておくと安心です。正確な計算方法は、労働局や社労士に確認してください。
Q. 中堅全員の給与も上げる余裕はありません。どうすれば?
全員一律でなく、役割を担っている人に絞って手当をつける方法があります。金額だけでなく、人前で役割を認める、仕事の裁量を任せるといった形でも、納得感は高められます。
Q. 給与の差を社員に説明するのは、かえって揉めませんか?
他の人の金額を伝える必要はありません。伝えるのは「なぜ上げるのか」と「あなたはどうすれば上がるのか」の2つです。上がり方のルールが見えていれば、差があっても不満にはなりにくくなります。
- 厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」
- 厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」
- 厚生労働省「令和7(2025)年 賃金構造基本統計調査の概況」
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
この記事は、AIを活用して一次情報を整理し、監修者(採用定着士・国家資格キャリアコンサルタント)が内容を確認・加筆しています。